遺言書の確認作業
検認前に開封すると5万円以下の過料に処されるので注意してください。なお,公正証書による遺言のほか,令和2年7月より法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」は,検認の必要はありません。
遺言書の種類による探し方
【公正証書による遺言書】
被相続人自身が公証役場で作成したものであり、証人2名以上の立会いの下、遺言者が述べた内容を公証人が筆記し作成した遺言書で、1989年(平成元年)以降に作成された公正証書遺言がデータベース(遺言検索システム)で管理されています。全国約300か所ある最寄りの公証役場で公正証書遺言の有無が確認できます。ただし、検索できるのは、相続人、利害関係者(受遺者、財産管理人など)で、検索は遺言者が亡くなった後にしかできません(生前は遺言者のみ)
【自筆証書による遺言】
被相続人が自分で書いた遺言書であり、自宅の書斎や金庫、仏壇回り、鍵付きのデスク、本棚等考えらる箇所を探していきます。自宅に見つからな場合は、外部に預けている可能性があります。金融機関の貸金庫、信託銀行、親交の深い友人知人、付き合いのある士業・専門家に預けているというケースもあるかもしれません。その他、令和2年7月10日以降の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して、法務局に預けていることも考えられます。
【秘密証書による遺言】
被相続人が本文を作成して封印し、公証役場で公証人、2人以上の証人の署名をしてもらうものになります。公証役場では保管していませんが、問い合わせれば、遺言の有無はわかります。遺言書は遺言者が保管していますので、「自筆証書遺言」と同様の手順で探します。
遺言書の保管方法にも注意が必要です。
せっかく作成した遺言書が見つからなければ、遺言書が無いものとして手続きが進んでしまいます。その後に遺産分割が終わった後に遺言書が発見された場合、改めてやり直すのは大変なことです。相続人の全員合意による遺産分割が成立すれば、遺言には従わなくても良いのですが、万一誰かが再分割を主張したら大変なことです。
遺言を作成した事実を誰かが知っていることも必要です。そのために、公正証書遺言、自筆証書遺言書保管制度の利用や家族に作成してある旨を伝えることも検討ください。